世界遺産を勉強していく中で、このトンガリロ国立公園は「世界遺産の歴史を変えた超重要スポット」として絶対に覚えておく必要があります。
実はこの公園、1990年に最初は「優れた自然美や火山地形」を評価されて自然遺産として登録されました。しかしそのわずか3年後の1993年、先住民マオリの「聖地・信仰の価値」が認められ、世界で初めて「複合遺産(文化的景観)」として再登録されたという、極めてドラマチックな歴史を持っています。
基礎データ
- 登録年: 1990年(自然遺産) / 1993年(文化価値が追加され「複合遺産」へ拡張)
- 分類: 複合遺産(文化的景観)
- 登録基準: (vi) 精神的・宗教的伝統との関連、(vii) 自然美、(viii) 地球の歴史を示す主要な段階
- 所在地: ニュージーランド(北島)
ここが凄い3つのポイント
① 活発な動きを見せる「3つの荒々しいアクティブ・ボルケーノ」 公園の中心にそびえるのは、トンガリロ山(1,968m)、ルアペフ山(2,797m)、ナウルホエ山(2,291m)という3つの活火山です。 今なお激しい火山活動が続いており、山頂付近には鮮やかなエメラルドグリーンに輝く火山湖(エメラルド・レイク)や、蒸気を吐き出す噴気孔、見事な溶岩台地が広がっています。この地球の鼓動をダイレクトに感じる火山地形(登録基準viii)と荒々しい景観美(登録基準vii)は圧巻です。
② 先住民マオリの精神的支柱「タップ(聖なる存在)」 ニュージーランドの先住民マオリにとって、これらの火山は単なる山や自然ではありません。祖先の霊が宿り、神々と人間を結ぶ「神聖な山(タップ)」として深く崇拝されてきました。 19世紀後半、欧州からの開拓者が押し寄せ土地の売買や開発が進む中、マオリの部族長(ヘウヘウ・トゥキノ4世)は「聖地が荒らされるのを防ぎ、永遠に守り続けるため」に、1887年にこの山々をニュージーランド政府(英国王室)へ無償で寄贈しました。これがニュージーランド初の国立公園の誕生へと繋がったのです。
③ 世界遺産条約の歴史を変えた「世界初の文化的景観」 かつて世界遺産条約では「自然遺産」と「文化遺産」が明確に区別されており、「先住民の目に見えない信仰や精神文化」を評価する枠組みがありませんでした。 しかし、トンガリロの「マオリの信仰と自然が不離一体となった価値(登録基準vi)」をきっかけに、1992年に世界遺産条約の作業指針が改定され、新しい概念として「文化的景観(カルチュラル・ランドスケープ)」が誕生しました。そして翌1993年、トンガリロはその世界第1号として文化価値が認められたのです。
試験・知識のワンポイント:映画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地
世界遺産試験での「世界初の文化的景観」「複合遺産」という超重要知識に加え、エンタメや雑学として有名なのが、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでの登場です。 作中で主人公たちが目指す滅びの山「サンダーマウンテン(Mt. Doom)」のモデル・ロケ地として、ナウルホエ山やトンガリロ周辺の荒涼とした溶岩地帯が使用されました。世界中の映画ファンやハイカーが「トンガリロ・アルパイン・クロッシング」と呼ばれる日帰りトレッキングコースに集まる憧れの地でもあります。
まとめ
トンガリロ国立公園は、「地球のエネルギーを実感する3つの大活火山」、「部族長が未来のために贈った先住民マオリの聖地」、そして「世界遺産に『文化的景観』という新たな扉を開いた歴史的スポット」です。
これまで何回にもわたって学んできた「文化的景観」という素晴らしいテーマの、『すべての原点・元祖』として、トンガリロ国立公園の名前をしっかりと心に刻んでおきましょう!
