世界遺産の歴史のスタートラインにイエローストーンと共に並んだのが、このナハニ国立公園です。
イエローストーンが「火山と熱水」の地球のエネルギーを見せてくれる場所なら、ナハニは「川と時間が削り出した地殻の芸術」を体感できる場所。一般の観光客が気軽に近づけない圧倒的な「絶景と秘境感」が特徴です。
基礎データ
- 登録年: 1978年(第1回世界遺産委員会 ※1987年に登録範囲が拡大)
- 分類: 自然遺産
- 登録基準: (vii) 類まれな自然美、(viii) 地球の歴史
- 所在地: カナダ(ノースウエスト準州)
ここが凄い3つのポイント
① ナイアガラの滝の2倍の落差!「ヴァージニア・フォールズ」 ナハニ国立公園のハイライトといえば、サウス・ナハニ川にある巨大な滝「ヴァージニア・フォールズ」です。 落差は約92メートルあり、なんとあのナイアガラの滝の約2倍の高さを誇ります。滝の中央には「メイソン・ロック」と呼ばれる巨大な岩がそびえ立っており、激流がその岩を挟んで二つに裂けながら凄まじい轟音とともに流れ落ちる様子は圧巻の一言です。
② 地球の歴史が刻まれた4つの「大峡谷(キャニオン)」 サウス・ナハニ川の流れが、気の遠くなるような歳月をかけて周囲の台地を削り取り、「ファースト」から「フォース」まで名付けられた4つの壮大な峡谷(キャニオン)を形成しました。 垂直に切り立った過酷な断崖絶壁は、深いところで1,000メートル近くに達します。この荒々しくも美しい地形が、自然美の基準(vii)と地学的な価値(viii)として高く評価されました。
③ 人を寄せ付けない「リアルな秘境」 この公園には、なんと車で行くことができる道路が一本もありません。 アクセス手段は、実質的にセスナ機(水上飛行機)で上空から入るか、カヌーやラフティングで川を何日もかけて下るルートのみ。この徹底した地理的孤立が、カナダを代表する野生動物(グリズリー、ドールシープ、トナカイなど)の豊かな生態系を今日まで手つかずのまま守り抜く結果となりました。
試験・知識のワンポイント:「未氷結」のカルスト地形
世界遺産の試験やディープな知識として差がつくポイントが、ここのカルスト地形(ツンドラカルスト)です。 ナハニ国立公園の一部は、数万年前の地球の氷河期(最終氷期)において、不思議なことに氷河に覆われずに済んだエリア(未氷結地域)です。そのため、氷河に削り取られることなく、大昔の雨水や地下水が石灰岩を溶かして作った複雑な洞窟群や地下河川、タワー状の岩などがそのままの形で残されています。これは北米の寒冷地においては極めて珍しい地質学的特徴です。
まとめ
ナハニ国立公園は、「手つかずの壮大な峡谷」「ナイアガラを超える大滝」、そして「氷河期を免れた奇跡の地形」を持つ、地球のダイナミズムをそのまま残した遺産です。
「カナダの道路がない世界遺産第1号」として覚えると、一気に知識が定着しますよ!
