キトの市街:標高2,850mの空中都市、ラテンアメリカで最も美しいコロニアル都市

世界遺産の最初の登録(1978年)において、文化遺産の分野でトップバッターとして選ばれたのが、エクアドルの首都キトの歴史地区(旧市街)です。

「文化遺産の最高峰の基準」ともいえる、保存状態の良さと歴史の深さを併せ持つ、まさに文化遺産を学ぶ上で基本中の基本となる物件です。

基礎データ

  • 登録年: 1978年(第1回世界遺産委員会)
  • 分類: 文化遺産
  • 登録基準: (ii) 建築や技術の交流、(ii) 建築様式や都市景観の傑出した見本
  • 所在地: エクアドル

ここが凄い3つのポイント

① インカ帝国の「第二の都市」から「キリスト教の布教拠点」へ キトはもともと、インカ帝国においてクスコに次ぐ第二の主要都市として栄えていました。しかし1534年、スペイン人征服者によって町は破壊され、その基礎の上に新たなキリスト教の植民地都市(コロニアル都市)が築かれました。 新しく建てられたキトの旧市街は、南米大陸におけるキリスト教布教の最前線となり、あまりの宗教施設の多さから「アメリカ大陸の修道院」とも称されるようになりました。

② 文化の融合が生んだ「キト派(キト学校)美術」 世界遺産としてのキトを語る上で絶対に外せないのが、「キト派(Escuela Quiteña)」と呼ばれる独特の芸術様式です。 スペイン、イタリア、ムーア(イスラム)、フランドルといったヨーロッパのデザインが南米に持ち込まれ、そこに現地インカの先住民(インディヘナ)の感性や職人技が融合。ヨーロッパの模倣にとどまらない、独自の素晴らしいバロック様式の建築や彫刻が花開きました。これが登録基準(ii)の「文化の交流」に大きく該当しています。

③ 圧倒的な金箔の世界「ラ・コンパニーア聖堂」 旧市街には40以上の教会や16の修道院がありますが、その中でも白眉とされるのがイエズス会によって建てられた「ラ・コンパニーア聖堂」です。 160年以上の歳月をかけて完成したこの聖堂の内部は、壁から天井まで一面がまばゆいばかりの純金(金箔)で埋め尽くされています。南米バロックの最高傑作と言われており、外側の重厚な火山岩のファサード(正面)とのギャップに誰もが息を呑みます。また、南米最古の宗教建築物である「サン・フランシスコ聖堂・修道院」も必見のスポットです。

試験・知識のワンポイント:驚異の保存状態と災害の克服

世界遺産の評価でとても重要視されるのが、街並みの「真正性(オーセンティシティ=当時の姿がどれだけ本物として保たれているか)」です。 キトの旧市街は、1917年や1987年の大地震によって何度も深刻な被害を受けました。しかし、そのたびに現地の職人たちが伝統的な素材(土、木、石、漆喰)と古くからの建築技術を用いて、元の姿を忠実に復元・修復し続けてきました。 この「災害に負けず、400年前の碁盤目状の街並みと景観を守り抜いた努力」こそが、世界遺産第1号として世界から賞賛された最大の理由です。

まとめ

キトの市街は、「インカの歴史の上に築かれた植民地都市」「ヨーロッパと先住民の芸術が融合したキト派バロック」、そして「地震を乗り越えて守られた街並み」という、文化遺産のエッセンスが凝縮された場所です。

自然遺産のガラパゴスとセットで「エクアドルの2大世界遺産第1号」として整理しておきましょう!

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